人間の目を通して見た自然。私たちを取り囲むものと、それが判断力と美的感覚にどのように影響を与えているのか。自然の偉大さは、集団意識のどこかに常に存在するものです。そしておそらく今、未だかつてないほどその意味が深くなっています。私たちの作品が自然界にある完全さに近づくことさえ難しいなか、私たちの営みはどんな時にも自然の枠組みの中で進められていくのです。コットン、ウール、シアーリング、レザー、金属をはじめとする素材こそが今コレクションを構成するブロックとなり、これらを加工し成形することで、私たちの暮らしにさらなる豊かさをもたらす美しさと機能性を表現しています。2022年秋冬コレクションは、自然を対象とした研究からスタートしました。その美しさを鑑賞しつつ、自然において表れる美しさは、常にその機能性に関連付けられているという気づきにもとづきます。木の皮や苔、花の色や形、そして夕焼け空の水彩画のようなモチーフが、機能性に富んだ衣類のパターンとして人の手でアレンジされ、反映されているのです。波打つ手編みのジャカードニットがぎざぎざに入り組んだ風景を思わせ、対比色の糸をあしらったパッチワークからなるアタッチメントに人間の手仕事の跡がくっきりとみられます。低温染色のコットンにはまだら状のマルティントエフェクトが現れ、布の内部を水が流れた痕跡を残しているのです。布地に直に施した刺繍が独創的な花模様を描き出し、がっしりした印象のコートやジャケットに繊細さを加えます。ウールジャカードは、層状になった岩肌を描き出しています。

そのシルエットは幾何学的で正確。テーラリングにも、プレスの効いたワークウェアのフォルムにも、角をきっちりと付けました。コントラストカラーのトップステッチが描くラインが前中央のフォルムを強調し、長めのラインを描き出しながら、ポケットやシームワークをはじめとする機能的なディテールを引き立てています。ラペルとフロント開閉部には花びらのようにシャツを重ね、パイプのようなスタンドカラーでネック部分に長さとハリを与えています。ユーティリティポケット有・無のバリエーションが楽しめる、丸みを帯びたふかふかのレザーやリサイクルナイロン製ダウンコートは、どちらも心休まるやわらかさと存在感のあるボリュームを作り出します。

OAMC Re:Workのセカンドシーズンは、染色、ディテール、フォルムを通してクラフツマンシップ的アプローチを強調します。オリジナルのヴィンテージアイテムの形状に合わせて、一着一着カスタムフィットで調整する必要があるため、パターンを標準化することはできません。出来合いのアイテムを取り出し、フィットを修正・調整して、造りを変え、重ね染めを施すのです。大きな存在感を持つのが、ミリタリーフィールドジャケットライナーの可能性を探る、ウール製のライニングと重ね染めを施す取り組みです。カモフラージュモチーフのプリント入りの軍用ヴィンテージブランケットで新しい衣類を形作り、これらにもオーバーダイを施しました。ウール製ライナーには重ね染めを施して形を整え、スイス軍のヴィンテージシャツやパンツのフォルムをアレンジして重ね染めを施し、意義深いフォルムを作り出しています。

コレクション全体を通して、金具とアクセサリーからは自然界にある形状がそこはかとなく感じられます。太陽を刻印したボタン、アシンメトリー仕上げのハンマードメタル製プレスボタンキャップ、ジッパープルやポケット開閉部に付けた長めのコードが特徴です。自然界を反映したカラーパレットは、ダークブラウン、グレーやパープル、幾多の色合いのグリーン（アクア、コンブ、ダスティミントやモスなど）、鮮やかなサンイエローやコーラル、くすみライラック、スチールブルーとダスクピンクへと広がります。

布地は特別に開発されたものです。フェルト加工を施したコンパクトなテーラリング仕様ウール、弾力感に富み、ハンマードの質感が特徴のダブルフェースウール、とろみのあるヴィスコース、キルティングを施したプリント入りベルベット、耐久力に優れたローコットンギャバジン、製品染めを施したリサイクルドナイロンセルジュやシャリ感のあるコットンポプリン、角のはっきりしたワークウェアのリサイクルドポリエステルなどが見られます。しなやかなナッパレザーにはパッドを入れて繊細に仕上げ、巻き毛のムートンがアクセサリーにふんわり感を加えます。ブーツやシューズにはがっしりとしたソールを付け、しなやかなレザー製のアッパー、そして縫い合わせの少なさが特徴です。OAMCならではのコントラストアウトソールクリップで、混じり気のない、力強いフォルムに安定感を与えました。

自然は大切にされるべきもの。今シーズンOAMCは複数のチャリティーとパートナーシップを結び、環境保護運動の手助けができるよう取り組んでいます。自然は素材調達の真の源であるからこそ、私たちの援助は極めて重要な意味を持つと考えます。